私は61年前、当時は東京教育大学と呼ばれていたチームの優勝も見ていたのである。野口主将、松尾、糸山を擁して圧勝した試合をコートサイドで観戦していた。今春、偶然、その野口さんと当時の想い出を語り合ったことも重なり、そこはかとなく幸福感がある巡り合わせだ。
筑波大学の監督が、東海大学に勝つために実施した対策は、デフェンスの強化、特に、スリーを入れさせない、ドライブインさせない、レイアップシュートを抑える、に力を入れたことが結果に繋がった、と語っていた。
準決勝で筑波大学に競り負けた大東文化大学は、ベンチとプレーヤーの一体感、厳しく反応の良いデフェンス、小柄ながら卓越したゲームメーカー、素直に攻める攻撃陣のバランスが良く、好感が持てた。大東文化大学が、反対側の準決勝で東海大学に僅差で敗れた拓殖大学にかなりの差をつけて勝つのを目の当たりに見て、決勝戦の結果は予想された。
優勝監督の談話は現実問題としては妥当だが、少し強いデフェンスによって攻撃が滞り、これほど、シュートが入らず、パスがポイントから外れて、攻守が入れ替わるようでは、バスケットの人気を盛り上げるには問題があるというのが実感である。
国士舘大学は、明治大を大差で破って5位になった。視野がしっかりしていてパスのタイミング、コースがきちんとして、1オン1をきちんと積み上げていると感じた。慶応大学は、61年以上昔の大会で連勝した頃と私が最後に見た60回の優勝校だが、今年は7位戦にも敗れてしまったが、全員が、広い視野を維持してパスを回し、果敢にシュートしていたのが好感が持てた。
久し振りに、2日に亘って、ゲームを見たが、昔に比べて、身体が大きくなっていることと、デフェンスの攻撃者への近接の度合いが上がっている。防御側の身体の使い方が、上手になっている割に、攻撃側が一段上の身体の使い方を開発することが遅れているように感じた。
大東文化大学の児玉主将のように身長 165センチでも、優れた視野と読み、加速度を駆使して、ボールを持ってコート上を動き回ることが可能なので、そのスキルを見習って、普及して欲しいと思った。